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9月17日は「十五夜」でした。1年で最も月がキレイに見えるといわれる夜。そしてお月見団子を供えるのが定番です。ところが静岡県のお月見団子が少し特殊だというのです。「へそ餅」という名前も付いていました。
【画像】記事中に掲載していない画像も! この記事のギャラリーページへ静岡県民に聞いた「お月見団子はどんな形?」
お月見と言えば秋の収穫に感謝し、翌年の豊作を願ってお団子を供える習慣がありますよね。しかし、静岡には他の地域とは違う一風変わったお月見団子を供える文化があるそうです。
お団子の形はまん丸が普通ですよね。ところが静岡では違うんです。
ということでまずは、街の人に聞き込み調査! お月見団子はどんな形でしたか?
富士市出身の女性:
ちょっと平たい
神奈川県出身の女性:
静岡だと中がへこんでいるんです。親指でへこますような
インタビューを続けていくと、このへこんだ餅にぴったりの名前が付いていることが判明します。
清水区出身の女性:
「へそ餅」です
街の人に調査すると、静岡では真ん中がくぼんだ平べったい「へそ餅」が一般的とのこと。
十五夜が近づくこの時期、静岡市内の和菓子店では「へそ餅」が店頭に並ぶそうです。
和菓子店で実物を見る
ということで、創業75年の和菓子店「光太郎」へ。
お月見団子を見せてもらいました。
光太郎・杉本静夫さん:
お店始めてからずっとへそ餅ですね。静岡市の菓子組合のポスターもみんなへそ餅。日本中これだと思っていたから
和菓子店の店主もお月見団子と言えばへそ餅で間違いないと思っていたそうです。ただ、どうしてこんな形をしているか、歴史的な背景は知らないそうです。
へそ餅の由来は徳川家康か?
ということで、「へそ餅」の由来を調査するため、静岡市歴史博物館へ。
学芸員の宮崎泰宏さんが見せてくれたのは、静岡県の歴史をまとめた「静岡県史」です。
学芸員・宮崎泰宏さん:
「十五夜・十三夜」の項目を読んでみると、静岡県下の特色として月見団子の形状があると、「ヘソモチ」と呼ぶと書かれています
いつ始まった風習かは定かではないそうですが、「へそ餅」は富士川から西の中部地区、さらには遠州までの広いエリアで、「静岡独自のお月見団子」として親しまれているそうです。
ではこの特徴的な形には、一体どのような意味があるのでしょうか。
学芸員・宮崎泰宏さん:
へそ餅は食べるものとしてありますが、一方でお供え物でもあります。人が食べる餅と神様に捧げるものとを区別するための「しるし」だったのではないかという説が一つあります
【説1】人が食べる餅とお供えする餅を区別するため
もう一つは徳川家康に関係しているという説です。
食欲がないときに家来が餅をくぼませて、あんこを乗せて家康に差し出したところ、喜んで食べたというエピソードがあるそうです。つまりへそ餅を最初に食べたのは家康、だったかもしれません。
【説2】食欲がない家康に、家来が餅をへこませあんこを乗せて食べさせた
学芸員・宮崎泰宏さん:
家康に関連付けることでへそ餅のありがたみを強調しているのではないかなと思います
そもそも月見団子は、秋の実りに感謝を捧げるためのもの。
静岡の人たちは、時の天下人にあやかることで、その気持ちを強調したかったのではないか、ということでした。
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